自然は偉大なチャーチスト

自然と人間が為す相場との関係を考察するブログです。

Eマスク 対 アベノマスク

世界中でコロナ禍がすすむ中で注目されているのが台湾だ。

 

4月14日に、36日ぶりにコロナ感染者0人を発表。累計の感染者についても約400人にとどまっている。近隣諸国と比較すると少ない感染者数もさることながら、マスク対応が先をいっているのである。ICチップがついた保険証で「予約」することで99%手に入るし、逆に買い占めが絶対不可能という「Eマスク」システムを実施したのだ。

 

反面、日本では今もマスク騒動が続いている。早くから薬局をはじめ、多くの売り場からマスクが消え、メルカリやヤフオクで高額転売される事態となった。また、政府が全世帯に布マスクを配布することを決めると、SNSを中心に「アベノマスク」と揶揄する投稿が散見されるようになる。「布マスクを出品しないように」と、今度はメルカリからアナウンスされるなど、マスク騒動がおさまらない。

 

何よりもITの技術抜きでは語られない「Eマスク」政策を導入したことは、世界を驚かせた。

各販売店のマスク在庫数をリアルタイムで把握できるアプリを開発。在庫データの更新頻度は「30秒」ともいわれる。

 

もともとは薬局などで販売を行っていたが、学生や会社員はなかなか店頭に並べない。そこで、マスクを国民に均等に配布するため、インターネットを活用して予約販売する新たな試みを行ったのだ。事前に本人登録を行い、あとはコンビニなどに行って受け取るだけ。14日間で9枚まで購入でき、料金も(9枚で)約200円となっている。

 

「Eマスク」の手順としては、1. 名前、電話番号、身分証明証番号、保険証で予約、2. 上記の情報が正しく一致すれば「予約完了」のメールが携帯に届く、3. 支払い方法はインターネットバンクやクレジットカード、銀行振り込みなどから選べる、4. たとえば、家の近くにある4大スーパーの中から1つ選んでそこで受け取る、ということ。

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現地、台湾の方に聞くと、「Eマスクのためのアプリ申請はそう難しくなく、コンビニでもストレスなく受け取ることが可能」という。そのため、最近は人々が薬局に並ぶ姿が「珍しくなった」ともいう。

この効果は計り知れない。市民が落ち着いてマスクを購入することができ、自身が無駄に購入しないことが、他の市民を助けることになる。また、医療機関にも安定供給できているので大きな混乱もなさそうだ。今回のマスク対策で政府への信頼も厚くなり、支持率も高まっている。

 

この台湾の「Eマスク」システムを先導して実施したのが、台湾のデジタル担当政務委員(デジタル大臣)である38歳の唐鳳(オードリー・タン(Audrey Tang)氏。

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経歴は、実にユニークでネット上でも、かなり話題に。

 

中学中退、トランスジェンダー、IQ180、アップルでデジタル顧問。

19歳の時に、シリコンバレーでソフトウェア会社を起業。米アップルや台湾BenQの顧問を歴任するも、33歳のタイミングでビジネスの領域から引退。閣僚になったのは35歳だ。台湾で最年少、そして、トランスジェンダーでは世界初の閣僚となった。

 

今回のコロナ危機で、日本でもタン氏の名前が広く知れ渡った。

 

多くの国で見られるマスク不足。その代替案として、使い捨て医療用サージカルマスクの再利用方法を動画で紹介。日本語に吹き替えたものや日本語テロップを掲載したことで、日本のネットユーザーを中心に知られることとなった。

 

 また、東京都が開設したコロナ対策サイトにもタン氏が関わった。同サイトは、陽性患者数をはじめ、コールセンターに寄せらせた相談件数、検査実績、都営地下鉄利用者数の推移などを掲載している。

 

珍しいのは、自治体のサイトにも関わらずオープンソースを取り入れており、誰でも修正が提案できるのことだ。ここにタン氏が改善案を書き込んだ。言語選択ラベルの表記変更の提案だけではあったが、海外の大臣が行政のサイトを修正するということに、未来を感じた人は少なくはなかった。