自然は偉大なチャーチスト

自然と人間が為す相場との関係を考察するブログです。

デジタル化と日本

 

コロナ後の経済はどう変わるのか。いまだ五里霧中ながらも、いくつかのイメージが語られるようになった。


 テレワークが広がって通勤や仕事のやり方が変わる、グローバルサプライチェーンの分散化が進む、企業や行政のデジタル化が不可欠になる、などが代表だろう。特に、企業はデジタル革命への対応なしに生き残れず、経済も活性化しないとの指摘は多い。新政権の大きな政策課題だ。

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 デジタル化でビジネスモデルが変革し、効率性や利便性が高まるのは事実。ただ、それだけで企業が新たな付加価値を生み、日本経済が長期停滞から抜け出せるのだろうか。


 例えば、電子メールの普及で仕事や生活は便利になったが、全体としてみた経済や企業の生産性は高まらなかった。人工知能(AI)は膨大なデータをもとに、定式化された問題の答えを瞬時に導く。ただ、コロナ禍のような未経験の状況や未知の領域で、想像力や創造性を働かせて新しい可能性を生むことはできない。デジタル革命のリーダー・アメリカはコロナ前から、生産性の停滞と成長力の持続的低下に苦しんでいた。


 コロナ後の経済社会は先行きが読めない真の不確実性(ナイトの不確実性)に満ちている。各国政府は感染症対策と経済活動のバランスを探り、企業は事業の継続や再構築に悩みもがいている。
 こうした状況下で新しい価値を生むのは、想像力と創造性、多様性を持つ人間以外にない。デジタル化はそれを補完する道具でしかない。過去四半世紀、日本の政治は一部の既得権益層を重視し、多くの人間の能力と意欲を貶(おとし)めてきた。それが変わらぬ限り、日本経済は元気になれない。