自然は偉大なチャーチスト

自然と人間が為す相場との関係を考察するブログです。

仮想オフィス

 

 

 

 仮想空間にオフィスを設け、"出勤"するのは社員のアバター(分身)だけ――。

 

 新型コロナウイルスパンデミックを契機にこんな運営をするのが、米不動産会社のEXPワールド・ホールディングズ。

 

 会議も株主総会もすべて仮想空間で完結する徹底ぶり。コロナ禍で在宅勤務が増える中、この技術やサービスに対する引き合いが強まっています。

 

 在宅勤務や遠隔授業が定着したことで当社の技術普及の可能性が一気に広がり、需要が急拡大している。技術担当スタッフは現在、72人とコロナ以前の3倍に増えた。売上高は7倍。

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 不動産部門が『オフィス』を構える仮想空間をオープンキャンパスにして、そこに賃貸オフィスを開いた。オフィスは月額100ドル(約1万900円)で最大10人まで利用可能。利用者はアバターを通じて専用の賃貸オフィスにアクセスするのに加えて、共用スペースを自由に移動できます。多様な企業や団体の関係者が交流し、新たなビジネスが生まれることもある。単なるビデオ会議とは異なる利点。

 

 ウィーワークの共用オフィスが仮想空間に利用可能となり、より利用が手軽になった。現在、数百人がシェアオフィスを利用するためにキャンパス内を行き来している。社外の人と知り合い、人脈づくりも可能になっています。キャンパス内ではコンサートや誕生日会など様々なイベントも開催しています。企業にキャンパス全体を提供するサービスもある。月額500ドルで150人が利用できる。物理的なオフィスの賃貸料を考えたら大きなコスト節約になります。

 

 現在、日本を含むアジアや南米、欧州など世界約100カ国の企業の顧客にサービスを提供している。大手テクノロジー会社から会計事務所、大学から宗教団体によるバーチャル教会まで幅広い。

 

 eXp Realityは、アメリカ合衆国ワシントン州に住所をもちますが、実際に社員が通うオフィスは1つもありません。「eXp World」という専用のソフトをダウンロードし、バーチャルオフィスにログインすることで出社することになります。約200人の社員がアバターとしてオフィスに出社しています。

 

 アメリカの不動産取引には「Agent(エージェント)」と呼ばれる営業と「Brokerage(ブロウカリッジ)」と呼ばれるエージェントを管理する仲介会社が存在します。

 

個人が不動産の売買をする場合に、必ずエージェントが入ります(親族間取引などは除く)。物件の売り手から仲介手数料5~6%が徴収され、売り手のエージェントと買い手のエージェントがそれぞれ半分ずつを受け取ります

 

エージェントは自分の稼いだ仲介手数料のうち平均15%を管理者である仲介に支払います。

 

インターネットの普及前は情報の非対称性もあり、上記の手数料が普及していましたが、情報がノウハウがオープン化していくことで、

 

・売主からするとエージェントは5-6%の手数料の価値の働きをしているのか?

 ・エージェントに対して、仲介会社は15%分の価値を提供できているのか?

 

という疑問が多く上がってきています。

 

eXpはエージェントに対して手数料を下げることで新規のエージェントを大量に獲得することが可能になり、急成長しました。 eXpは20%をAgentから徴収しますが、マージン総額が年間$16,000を超えたらそれ以降の課金は免除するというCapモデルを武器にしています。

 

アメリカの不動産取引において最終的に顧客との接点を握っているのはエージェントになります。 通常、仲介会社は物件情報や問い合わせの紹介などだけでなく、エージェント用に全国に豪華なオフィスを建設したりすることでサポートしてきましたが、インターネットが普及した現在、eXpはスマホとカフェさえあればオフィスは不要というスタイルでコストを削減し、彼らの低価格のモデルを実現しました。

 

バーチャルオフィスという切り口は業務効率化により手数料削減し競争優位性を生むための施策なのです。

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バーチャルオフィスの利点として、実際にオフィスを持たないため、社員数の制限を受けず、建物のメンテナンスなどにも費用がかかりません。またネット環境さえあれば、住んでいるところに関係なく、世界中の優秀な人材を採用することができます。

 

現在の会社のCEOはワシントン州、COOはアリゾナ州CFOネバダ州、CTOはニューヨーク州と各地に点在しています。現実のオフィスであれば集まることが難しかったかもしれません。しかし、バーチャルオフィスでは、どこに住んでいてもアバター同士で会議をすることができます。

 

eXp Realityで使用される仮想空間オフィス技術を開発するグループ会社 VirBELA(ヴァーベラ 親会社: eXp World Holdings)は、コロナ渦でリモート需要の高まりに答える形で、仮想空間オフィスの技術を月額100ドル(10人)、月額500ドル(150人)といったプランで、外部提供を強化。昨年対比で7倍の売上に成長しています。

 

現在、日本を含むアジアや南米、欧州など世界約100カ国の企業の顧客にサービスを提供している。大手テクノロジー会社から会計事務所、大学から宗教団体によるバーチャル教会まで幅広い。

 

コロナの収束後は在宅勤務がニューノーマルになるだろう。コロナ禍で多くの人が在宅勤務の効率性を実感した。仕事の合間に子供の世話をしたり、運動したりすることができるとわかった。

 

今後はというか、もはや週に1回は物理的なオフィスに出勤し、残りは在宅勤務という形態を取り入れる企業が増えてくるだろう。また、進んだ企業は、在宅勤務がほとんどで仮想オフィスに出勤ということになるだろう。そして、企業と雇用者の関係も変化し、徐々に、優れた(スキルフルな)雇用者は、フリーランス化し、数社と契約し、自由な勤務スタイルで働くようになるであろう。これも、もはや、IT化の進んだアメリカや英国、イスラエルなどでは当たり前になっているが・・・。