自然は偉大なチャーチスト

自然と人間が為す相場との関係を考察するブログです。

アジアテック

 


1. ファーウェイが移り気な米トランプ政権に慎重に対応するのには理由があります。米政府は15日、ファーウェイが参加する5Gなどの国際基準作りの議論に、米企業が参加するのを認めると発表しました。この米国の制裁軟化の動きを受け、中国の通信会社の株価が急騰しています。


2. 米国のマサチューセッツ工科大学(MIT)に相当する中国のハルビン工業大学は今年、米政権が実質的な禁輸先を列挙した「エンティティー・リスト(EL)」に追加されました。その結果、重要な工業用ソフトウエアが使えなくなるといった影響を受けているとNARがスクープしています。


3. 中国の北京字節跳動科技(バイトダンス)は、シンガポールでのデジタル銀行免許の取得手続きを有利に進めようと、同国のビジネスに強い影響力を持つ李一族と関係の深い投資会社との提携交渉に乗り出しました。


4. 循環出資と言えるでしょうか。日本のソフトバンクグループ(SBG)が、クレディ・スイスの複数の投資ファンドに計5億ドル(約540億円)を超える金額を密かに出資していることが判明しました。これらのファンドは、SBG傘下のビジョン・ファンドが出資する、苦境にあえぐスタートアップに多額の資金提供をしてきました。これらのファンドに出資する他の投資家をリスクにさらす可能性があります。FTのスクープです。


5. SBG傘下の英半導体設計大手アームは、中国の合弁会社アーム・チャイナとの経営の主導権争いに巻き込まれています。アーム社が合弁会社のアレン・ウー会長兼最高経営責任者(CEO)が解任されたと発表したのに対し、アーム・チャイナ側は解任を否定。こちらの記事が紛糾の深層に迫ります。


6. 先週号のTSAで紹介した、米シリコンバレーのスタートアップ、ズーム・ビデオ・コミュニケーションズを率いる中国生まれの経営者エリック・ユエン氏。米中の対立が激化するなか、同社のビデオ会議システム「ズーム」のヒットにより資産価値が急上昇したと伝えました。そのズームが中国の体制に異議を唱える利用者のアカウントを停止したことに注目と批判が集まっています。


7. 中国最大級の貿易商談会が、60年余りの歴史で初めてオンラインで開かれます。果たしていつものように大勢の参加者が集まるのでしょうか。商品に触れる機会がなくても商談は成立するのでしょうか。NARが検証しました。


8. 日本政府の支援を受け理化学研究所富士通が開発したスーパーコンピューター「富岳(ふがく)」が、計算速度で米中のスパコンを抜き、2011年以来初めて世界のトップに立つ公算が高まっています。


9. 米国は半導体産業の多くの点で先頭に立っています。しかし、実際の生産となるとそうとはいえず、半導体受注生産最大手である台湾積体電路製造(TSMC)への依存を政治家が懸念しているとFTのウェストコースト・エディター、リチャード・ウォーターズが指摘しています。


10. 中国の無人スマートホテルでは、宿泊客は、オンライン予約から顔認証によるカーテン開閉まで、人の手を介したり、物理的な接触をしたりする必要がありません。

 

 新型コロナウイルスパンデミックは米中のサプライチェーンのデカップリング(分断)を加速させた――。新型コロナ禍のテック分野への影響を香港の非営利団体ハインリック財団のアレックス・カプリ氏が白書で分析しています。「これは未曽有の技術ナショナリズムである」と指摘しています。


 人工知能(AI)の高度人材はどこから来て、どこへ行くのか。米シカゴのポールソン研究所内のシンクタンク、マクロポロが公開している「グローバルAIタレント・トラッカー」には興味深い洞察が詰まっています。一流研究者の雇用先としては米国が首位で、60%近くを集めています。一方、出身地をみると、トップは中国で、世界の人材の29%を輩出しています。


 米国が5G競争で遅れを取っているという話は本当でしょうか。そもそもそれは「競争」と呼べるのでしょうか。米戦略国際問題研究所CSIS)のジェームズ・アンドリュー・ルイス氏は3部構成のリポートの第1部で、テクノロジーがいかに富と国力の源泉であるかを説いています。政治対立が次世代テクノロジーに関する誤解を生んでいるという視点が注目されます。