自然は偉大なチャーチスト

自然と人間が為す相場との関係を考察するブログです。

新型レバレッジ投信

 

 

2019年の国内投資信託市場は低迷し、追加型株式投信から約1兆2000億円の資金が流出した。一方、明らかに増加したファンド群がある。

 

それは、ミドルリスク・ミドルリターン(標準偏差7%以上10%未満)のバランス型ファンドで約5,000億円の資金が流入。運用による増加もあり純資産残高は約2兆円に拡大した。

 

代表的なファンドは、日興アセットマネジメントの「グローバル3倍3分法ファンド」(1年決算型)。世界の株式、不動産投資信託REIT)、債券に投資する。2019年12月末の純資産総額は、3,600億円。

一方、当ファンドは、“3倍”ということもあり、新型レバレッジ投信としても分類されている。新型レバレッジ投信は、2020年3月末で15本あり(投資信託協会)、基本となるバランス運用に一定倍率をかけたポートフォリオを構築する「レババラ」運用に加え、倍率を機動的に変更するものや、債券、株式といった単一の資産だけで運用するものがある。

 

「レババラファンド」には、差別化を図るために、高レバレッジに乗り出す運用会社もあった。三井住友DSアセットマネジメントの「米国分散投資戦略ファンド(5倍コース)」や日興アセットマネジメントの「グローバル5.5倍バランスファンド(1年決算型)」である。

 

 しかし、相場上昇にかけたレバレッジであるため、いかにバランスしてようが、2~3月の急落局面では、大きく下落した。3月末時点での3ヵ月騰落率は▲18.8%。

 

日興アセットマネジメントの「グローバル3倍3分法ファンド」(1年決算型)は、2月のピーク時には純資産総額6,800億円を超えたが、3月末の純資産総額は3,497億円。

 

1~3月の市場の暴落は、「レババラ」ファンドにもある種の教訓を与えてくれた。

 


それは、「市場が大荒れの時は、リスク回避によるキャッシュ化の動きが激しくなり、平常時のような分散効果がうまく働かない」ということである。

 

そもそも「3分法」というスタイルも、リスク資産である株式、リートとリスク回避時に強いといわれる債券の組合せに過ぎない。リスク/リターン分析では、リスク資産:非リスク資産は、5:1程度。やはり、相場の大きな下落には弱い。さらに、そのポートフォリオに対して3倍レバレッジをかけるわけだから、損失も大きくなる。すなわち、「やや上昇」の市場展開を想定し、その中で利益を最大化する戦略といえる。今は・・・?である。