自然は偉大なチャーチスト

自然と人間が為す相場との関係を考察するブログです。

コロナききを契機に起こるパラダイムシフト

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コロナ危機が引き金を引いたが経済の悪化はなるべくしてなったといえる。

 

米国のように高水準の債務と貧富の格差が拡大していた国では、中央銀行にできる力は限界に達していた。これは1918年から1945年に起きた経済・金融危機とよく似ている。

 

中央銀行や政府は資産買い取りのための紙幣印刷によって、新たに生み出したお金と信用で所得やバランスシートにあいた大きな穴を埋めるのに必死だ。しかし、個人も企業も国も貯蓄のないところではやがて破産に直面する。1930年から45年に起きたように地政学的パワーバランスが崩れ、世界の秩序が大きく変わる。国同士でも国内でも富と権力を巡る対立が激化する。45年以降の世界に起きたように富の再分配を巡って、資本主義と社会主義の両極端の対立も起きる可能性がある。

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コロナ危機が引き金を引いたが経済の悪化はなるべくしてなったといえる。

米国のように高水準の債務と貧富の格差が拡大していた国では、中央銀行にできる力は限界に達していた。これは1918年から1945年に起きた経済・金融危機とよく似ている。

 

中央銀行や政府は資産買い取りのための紙幣印刷によって、新たに生み出したお金と信用で所得やバランスシートにあいた大きな穴を埋めるのに必死だ。しかし、個人も企業も国も貯蓄のないところではやがて破産に直面する。1930年から45年に起きたように地政学的パワーバランスが崩れ、世界の秩序が大きく変わる。国同士でも国内でも富と権力を巡る対立が激化する。45年以降の世界に起きたように富の再分配を巡って、資本主義と社会主義の両極端の対立も起きる可能性がある。

 

ドルが基軸通貨で、かつ新興国などがドル建て債務をドルベースで返済し、そしてドルによるモノの購入が続く限り、米国は覇権を維持できるだろう。しかし、いずれはドル建て債務の不履行が起きて債務が帳消しになったり、米FRB(連邦準備理事会)によるドル紙幣の印刷が増えたりして、ドルの基軸通貨としての価値が低下する。そうなると米国の国力も低下する。歴史が示すように大英帝国やオランダの衰退も債務の拡大と通貨の下落とともに起こった。

 

FRB(連邦準備理事会)の大幅な利下げや量的緩和の導入・再開・拡充、そして、バランスシートの規模の未曾有の膨らみについて、世界の投資家の多くは、「もはや、パラダイム・シフトは起こっている」と感じたかもしれない。緊急対応策と位置付けられるべきこうした措置は、新型コロナウイルスの問題が終息した後、淡々と撤回され得るのだろうか?金融危機後の経緯も念頭に置きつつ考えると、「逆戻り」は極めて困難だと言わざるを得ない。米国のゼロ金利FRBの膨張したバランスシートは「常態化」し、投資家はそれを前提にして動くことになるだろう。短期金融市場に厚みがある米国が、マイナス金利を導入するのは難しい。すでに導入している日欧との対比では、米国ドルの金利面での優位性がわずかながらも保たれるだろうが、その魅力は国力の減退とともに確実に減少している。

 

米国の次に覇権を握るのは中国だ。サプライチェーンやテクノロジーの進化で誰が主導権を握るのかを巡って世界秩序の再編が起きるなか、中国が主役となる。ただ、中国の人民元基軸通貨になるには時間がかかるだろう。そのためにはまず中国の資本市場を開放することが必要だからだ。

 

歴史上で起きた金融危機は同じ理由で繰り返し起きている。

 

1918年のスペイン・インフルエンザが起きたときは、ちょうど第一次世界大戦直後の経済悪化と重なり、世界経済に大きな打撃を与えた。今回のコロナウイルスの感染が拡大の世界経済への打撃と似通っている。1918年のドイツは、第一世界大戦の敗戦による膨大な賠償を求められ、追い詰められてしまった。困窮のドイツでは、ヒトラーが現れ、その後、第二次世界大戦に突入した。新型コロナウイルス感染拡大の賠償責任問題が出てきているが、中国が世界から孤立し、米国にも貿易等で追い詰められると、中国が武力行使にでる可能性も否定できない。しかし、現代の“武力行使”とは、過去の国家間の全面戦争という形ではなく、サイバー的なもしくはマネー的なソフト面でのフリクションなのかもしれない。武力といっても、ボタン1つの核爆弾で一瞬にして崩壊させてしまう世界ではあるから。

 

もう1つの「パラダイム・シフト」は人々の中におけるライフスタイルやイデオロギーの変化である。

 

新型コロナウイルスの感染拡大により、米国は、いくつもの困難を突き付けられ、民衆は多くのことに気ずかさせられた。

 

低所得者層の方々の死亡者数が急増した

 

 感染拡大の緊急事態の中でも、ニューヨークでは低所得者層の人々は、働かざるを得なかった。日々、満員のサブウェイに乗車し、感染の拡大につながった。ニューヨークでは、遺体安置所の建設ラッシュとなった。

 

②“在宅”から考える「資本主義」を考える

 

 「“会社に行く”ということが働くことではない。会社に行かなくても働ける」

それが、長く続くと“在宅”が通常になってきて、その方が“効率的”と考えるひとが増えてきた。

そうなると、「会社とは?」という点も疑問となる。

米国においても資本主義においては、資本家と搾取される労働者というヒエラルキーから脱却できず、富者はますます栄え、貧者はいつになっても貧しいままというのが現状で、貧富の差は極限まで拡大した。それは、「自分たちが悪いのではない。もしかしたら、社会システムがおかしい」のではないかということに多くの人が気づきだした。

 

③命か経済か? 

 

政府は、都市封鎖(ロックダウン)により経済を犠牲にしてパンデミックを抑えるか、経済を救うためある程度、人の命を代償にするか選択せざるを得なくなった。

 米国大統領は、極論すれば、「どうせ死ぬのだから、(選挙のために)早く解除しよう」というスタンスだ。お金に困った経営者は、それに賛同する人も多い。

そして、医療機器やマスクなどの供給が滞ったことなどを教訓に、コロナ危機は、反グローバリストの恐れを正当化した。閉鎖された空港や自己隔離する個人はグローバリゼーションを完全に破壊した跡の"グラウンドゼロ"のように見えた。

 

④世代間の対立

 

コロナ危機は世代間の力学に強い影響を与えた。若者世代は大人世代が、利殖的で利己的で人類の未来を真剣に考えていないと非難する。お金の為なら、地球環境を壊す行動を正当化してきたからだ。

 

今回のパンデミックではこの力学が逆転する。高齢者はこのウイルスにはるかに脆弱であり、若者世代の無軌道な行動が自分たちの命を脅かしていると感じている。危機が長期化すると世代対立は激化する。

 

⑤欧米型自由民主主義が中国の全体主義に負けた

 

中国は死者を米国、イタリア、スペイン、フランス、英国、ベルギーよりはるかに低く抑え込んだ。このパンデミックが去ったあと市民の目には中国が勝者で、欧米諸国は敗者のように映ったとしても何の不思議もない。

 

中国のビッグデータを活用した管理体制が勝利を収めた。。中国の指導者は透明性の欠如からウイルスの流行への初期対応に遅れた。その一方、大規模な都市封鎖と顔認識システムを活用した市民管理体制で感染封じ込めに成功した。

 

 

18世紀の英国の産業革命は、欧州の「近世」、大航海時代重商主義が主軸となっていた16世紀のスペイン・ポルトガル、17世紀のオランダから、英国への「パラダイム・シフト」をもたらした。

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英国の産業革命は、東インド会社が輸入していたインドの良質な綿花から作られる「綿織物」の機械化から始まった。そして、綿工業で使われる機械が売れることで機械業が発達しました。さらに、機械業で使われる鉄が売れることで鉄鋼業が発達し、蒸気機関が普及する中で、石炭業が発達しました。1814年には、スティーブンソンが蒸気機関車を発明しました。このような技術革新と、「資本」、「市場」、「労働力」をベースとした資本主義により、一気に英国へのパラダイム・シフトが起こしました。

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産業革命は英国を「世界の工場」と言わしめるほどに、英国を豊かにしました。当初、工業化の技術・機械が他国に流出するのを恐れて、機械輸出を禁止・技術者の渡航を禁止していましたが1825年以降は徐々に緩和されていきました。そのため1830年代以降は、世界各国で産業革命が波及していきました。

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英国では、産業業革命によって工業化が進められたことで(機械制工場)、資本主義を行うことができる土壌が出来上がりました。そこに現れたのが産業資本家です。資本とはお金、つまり資本家とは工場を経営することができる・しようとするお金持ちのことです。資本家は富で富を生むサイクルを回すことで、資本主義体制の社会を型作ってきました。

 

産業革命は、資本家と同時に労働者を産みました。労働者とは「資本家の下で働く、雇用された人たち」のことです。これまで人々は家族で協力し合って農業でお金を得ていたのに、産業革命以降は家族それぞれ工場や炭鉱などでの賃金でお金を得るように変化したのです。

 

労働者の中には男以外にも、女性・子どもも含まれます。当時の女性・子どもの地位は低いですから、低賃金で働かされていました。

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資本家は、利潤追求のために低賃金で労働者を働かせ、できれば長い時間働かせました。

 

労働者と資本家では立場的に資本家の方が上です。弱い立場にさらされている労働者たちは、過酷な労働条件の下で資本家に搾り取られていってしまいます。産業革命は、都市化と公害、労働問題を生みました。

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英国から米国への「パラダイム・シフト」は、2段階で行われ、第1段階は、第1次世界大戦後の1919年、1918年にはスペイン風邪が世界的に流行しました。第2段階は、第2次世界大戦後の1946年といわれています。

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2020年の現在、新型コロナ感染拡大のもと、米国、中国の世界の2大経済大国の摩擦が大きくなっています。また、グローバル経済が加速し、国際分業が発達していた中、グローバル・サプライチェーンの見直しを図る必要も生じてきました。世界は、ますます、デジタル化が進み、2005年にレイ・カーツワイル氏がその著書「THE SINGULARITY IS NEAR: When Humans Transcend Biology」で予言した通り、シンギュラリティ化してきています。

 

「シンギュラリティ(Singularity)」とは、未来学上の概念であり、人工知能自身の「自己フィードバックで改良、高度化した技術や知能」が、「人類に代わって文明の進歩の主役」になることです。

 

モバイル、IoTがデータのタッチポイントを増やし、クラウドコンピューティングがデータの格納に革命を起こし、データを解析・学習し、最適解を出すAI Techが2019年はメジャーになりました。これからの10年はAIの先に求められるサービスが主役になります。そして、シンギュラリティ時代には、現在、在宅リモートが普及しているように、仕事はオフィスに行かなくてもどこでも出来るようになり、小売店舗の店員はほとんどがロボット化され、デリバリーもドローンやロボットがやってくれるようになります。オフィスは物理的空間からバーチャル空間に移行し、チャットボットに代表される自動応答が、ユーモアを言ったりしてくれます。

 

米中の衝突も、今までとは異なる形、オンラインにおける米中戦争が加速化していくでしょう。

 

これからの戦いはFacebookやWeChat・Tiktokといったアプリケーションレイヤーにとどまらず、LibraやFusion Bankといった仮想銀行・仮想通貨の覇権争いが本格化するでしょう。

2000年に登場した3Gから約20年、2020年は、5G元年といわれています。ハイレゾのコンテンツがリアルタイムで飛び交い、仮想空間はVR・ARといった技術でさらなる進化を遂げます。デバイス、オンライン上で資産を管理するためにブロックチェーンが重要な役割を果たしていきます。全てが自動化していく中で、文化や芸術、ユーモア、幸せといったものの価値が変化していくことでしょう。

 

今回のコロナショックを契機にいろいろな変化が見られると思われます。それは、国家間の覇権争いの枠を逸脱し、少しずつ、人間のイデオロギーにかかわる部分にいたるまで、「パラダイム・シフト」が起こっていくでしょう。

 

ドルが基軸通貨で、かつ新興国などがドル建て債務をドルベースで返済し、そしてドルによるモノの購入が続く限り、米国は覇権を維持できるだろう。しかし、いずれはドル建て債務の不履行が起きて債務が帳消しになったり、米FRB(連邦準備理事会)によるドル紙幣の印刷が増えたりして、ドルの基軸通貨としての価値が低下する。そうなると米国の国力も低下する。歴史が示すように大英帝国やオランダの衰退も債務の拡大と通貨の下落とともに起こった。

 

FRB(連邦準備理事会)の大幅な利下げや量的緩和の導入・再開・拡充、そして、バランスシートの規模の未曾有の膨らみについて、世界の投資家の多くは、「もはや、パラダイム・シフトは起こっている」と感じたかもしれない。緊急対応策と位置付けられるべきこうした措置は、新型コロナウイルスの問題が終息した後、淡々と撤回され得るのだろうか?金融危機後の経緯も念頭に置きつつ考えると、「逆戻り」は極めて困難だと言わざるを得ない。米国のゼロ金利FRBの膨張したバランスシートは「常態化」し、投資家はそれを前提にして動くことになるだろう。短期金融市場に厚みがある米国が、マイナス金利を導入するのは難しい。すでに導入している日欧との対比では、米国ドルの金利面での優位性がわずかながらも保たれるだろうが、その魅力は国力の減退とともに確実に減少している。

 

米国の次に覇権を握るのは中国だ。サプライチェーンやテクノロジーの進化で誰が主導権を握るのかを巡って世界秩序の再編が起きるなか、中国が主役となる。ただ、中国の人民元基軸通貨になるには時間がかかるだろう。そのためにはまず中国の資本市場を開放することが必要だからだ。

 

歴史上で起きた金融危機は同じ理由で繰り返し起きている。

 

1918年のスペイン・インフルエンザが起きたときは、ちょうど第一次世界大戦直後の経済悪化と重なり、世界経済に大きな打撃を与えた。今回のコロナウイルスの感染が拡大の世界経済への打撃と似通っている。1918年のドイツは、第一世界大戦の敗戦による膨大な賠償を求められ、追い詰められてしまった。困窮のドイツでは、ヒトラーが現れ、その後、第二次世界大戦に突入した。新型コロナウイルス感染拡大の賠償責任問題が出てきているが、中国が世界から孤立し、米国にも貿易等で追い詰められると、中国が武力行使にでる可能性も否定できない。しかし、現代の“武力行使”とは、過去の国家間の全面戦争という形ではなく、サイバー的なもしくはマネー的なソフト面でのフリクションなのかもしれない。武力といっても、ボタン1つの核爆弾で一瞬にして崩壊させてしまう世界ではあるから。

 

もう1つの「パラダイム・シフト」は人々の中におけるライフスタイルやイデオロギーの変化である。

 

新型コロナウイルスの感染拡大により、米国は、いくつもの困難を突き付けられ、民衆は多くのことに気ずかさせられた。

 

低所得者層の方々の死亡者数が急増した

 

 感染拡大の緊急事態の中でも、ニューヨークでは低所得者層の人々は、働かざるを得なかった。日々、満員のサブウェイに乗車し、感染の拡大につながった。ニューヨークでは、遺体安置所の建設ラッシュとなった。

 

②“在宅”から考える「資本主義」を考える

 

 「“会社に行く”ということが働くことではない。会社に行かなくても働ける」

それが、長く続くと“在宅”が通常になってきて、その方が“効率的”と考えるひとが増えてきた。

そうなると、「会社とは?」という点も疑問となる。

米国においても資本主義においては、資本家と搾取される労働者というヒエラルキーから脱却できず、富者はますます栄え、貧者はいつになっても貧しいままというのが現状で、貧富の差は極限まで拡大した。それは、「自分たちが悪いのではない。もしかしたら、社会システムがおかしい」のではないかということに多くの人が気づきだした。

 

③命か経済か? 

 

政府は、都市封鎖(ロックダウン)により経済を犠牲にしてパンデミックを抑えるか、経済を救うためある程度、人の命を代償にするか選択せざるを得なくなった。

 米国大統領は、極論すれば、「どうせ死ぬのだから、(選挙のために)早く解除しよう」というスタンスだ。お金に困った経営者は、それに賛同する人も多い。

そして、医療機器やマスクなどの供給が滞ったことなどを教訓に、コロナ危機は、反グローバリストの恐れを正当化した。閉鎖された空港や自己隔離する個人はグローバリゼーションを完全に破壊した跡の"グラウンドゼロ"のように見えた。

 

④世代間の対立

 

コロナ危機は世代間の力学に強い影響を与えた。若者世代は大人世代が、利殖的で利己的で人類の未来を真剣に考えていないと非難する。お金の為なら、地球環境を壊す行動を正当化してきたからだ。

 

今回のパンデミックではこの力学が逆転する。高齢者はこのウイルスにはるかに脆弱であり、若者世代の無軌道な行動が自分たちの命を脅かしていると感じている。危機が長期化すると世代対立は激化する。

 

⑤欧米型自由民主主義が中国の全体主義に負けた

 

中国は死者を米国、イタリア、スペイン、フランス、英国、ベルギーよりはるかに低く抑え込んだ。このパンデミックが去ったあと市民の目には中国が勝者で、欧米諸国は敗者のように映ったとしても何の不思議もない。

 

中国のビッグデータを活用した管理体制が勝利を収めた。。中国の指導者は透明性の欠如からウイルスの流行への初期対応に遅れた。その一方、大規模な都市封鎖と顔認識システムを活用した市民管理体制で感染封じ込めに成功した。

 

 

18世紀の英国の産業革命は、欧州の「近世」、大航海時代重商主義が主軸となっていた16世紀のスペイン・ポルトガル、17世紀のオランダから、英国への「パラダイム・シフト」をもたらした。

 

 

英国の産業革命は、東インド会社が輸入していたインドの良質な綿花から作られる「綿織物」の機械化から始まった。そして、綿工業で使われる機械が売れることで機械業が発達しました。さらに、機械業で使われる鉄が売れることで鉄鋼業が発達し、蒸気機関が普及する中で、石炭業が発達しました。1814年には、スティーブンソンが蒸気機関車を発明しました。このような技術革新と、「資本」、「市場」、「労働力」をベースとした資本主義により、一気に英国へのパラダイム・シフトが起こしました。

 

 

産業革命は英国を「世界の工場」と言わしめるほどに、英国を豊かにしました。当初、工業化の技術・機械が他国に流出するのを恐れて、機械輸出を禁止・技術者の渡航を禁止していましたが1825年以降は徐々に緩和されていきました。そのため1830年代以降は、世界各国で産業革命が波及していきました。

 

 

英国では、産業業革命によって工業化が進められたことで(機械制工場)、資本主義を行うことができる土壌が出来上がりました。そこに現れたのが産業資本家です。資本とはお金、つまり資本家とは工場を経営することができる・しようとするお金持ちのことです。資本家は富で富を生むサイクルを回すことで、資本主義体制の社会を型作ってきました。

 

産業革命は、資本家と同時に労働者を産みました。労働者とは「資本家の下で働く、雇用された人たち」のことです。これまで人々は家族で協力し合って農業でお金を得ていたのに、産業革命以降は家族それぞれ工場や炭鉱などでの賃金でお金を得るように変化したのです。

 

労働者の中には男以外にも、女性・子どもも含まれます。当時の女性・子どもの地位は低いですから、低賃金で働かされていました。

 

資本家は、利潤追求のために低賃金で労働者を働かせ、できれば長い時間働かせました。

 

労働者と資本家では立場的に資本家の方が上です。弱い立場にさらされている労働者たちは、過酷な労働条件の下で資本家に搾り取られていってしまいます。産業革命は、都市化と公害、労働問題を生みました。

 

英国から米国への「パラダイム・シフト」は、2段階で行われ、第1段階は、第1次世界大戦後の1919年、1918年にはスペイン風邪が世界的に流行しました。第2段階は、第2次世界大戦後の1946年といわれています。

 

2020年の現在、新型コロナ感染拡大のもと、米国、中国の世界の2大経済大国の摩擦が大きくなっています。また、グローバル経済が加速し、国際分業が発達していた中、グローバル・サプライチェーンの見直しを図る必要も生じてきました。世界は、ますます、デジタル化が進み、2005年にレイ・カーツワイル氏がその著書「THE SINGULARITY IS NEAR: When Humans Transcend Biology」で予言した通り、シンギュラリティ化してきています。

 

「シンギュラリティ(Singularity)」とは、未来学上の概念であり、人工知能自身の「自己フィードバックで改良、高度化した技術や知能」が、「人類に代わって文明の進歩の主役」になることです。

 

モバイル、IoTがデータのタッチポイントを増やし、クラウドコンピューティングがデータの格納に革命を起こし、データを解析・学習し、最適解を出すAI Techが2019年はメジャーになりました。これからの10年はAIの先に求められるサービスが主役になります。そして、シンギュラリティ時代には、現在、在宅リモートが普及しているように、仕事はオフィスに行かなくてもどこでも出来るようになり、小売店舗の店員はほとんどがロボット化され、デリバリーもドローンやロボットがやってくれるようになります。オフィスは物理的空間からバーチャル空間に移行し、チャットボットに代表される自動応答が、ユーモアを言ったりしてくれます。

 

米中の衝突も、今までとは異なる形、オンラインにおける米中戦争が加速化していくでしょう。

 

これからの戦いはFacebookやWeChat・Tiktokといったアプリケーションレイヤーにとどまらず、LibraやFusion Bankといった仮想銀行・仮想通貨の覇権争いが本格化するでしょう。

2000年に登場した3Gから約20年、2020年は、5G元年といわれています。ハイレゾのコンテンツがリアルタイムで飛び交い、仮想空間はVR・ARといった技術でさらなる進化を遂げます。デバイス、オンライン上で資産を管理するためにブロックチェーンが重要な役割を果たしていきます。全てが自動化していく中で、文化や芸術、ユーモア、幸せといったものの価値が変化していくことでしょう。

 

今回のコロナショックを契機にいろいろな変化が見られると思われます。それは、国家間の覇権争いの枠を逸脱し、少しずつ、人間のイデオロギーにかかわる部分にいたるまで、「パラダイム・シフト」が起こっていくでしょう。