自然は偉大なチャーチスト

自然と人間が為す相場との関係を考察するブログです。

今こそ、「資本論」(2)

 

 経済貧富格差や環境破壊は、資本主義につきものの言葉です。一面で、一刻も猶予ならず放置できない喫緊課題として、他面では、「自己責任論」と「総論賛成だが各論反対」などといった資本に好都合な逃げ道を用意しながら、議論は盛り上がりはします。しかし、それらは目につく表層の出来事で、いっときの波風が鎮まると元の木網でした。

 

 重要なのは、それらの現象の奥に横たわるもっと根本的な病根、資本主義の宿痾の矛盾であるところの、資本の搾取・収奪・抑圧、貧困・失業、恐慌・不況、戦争、をけっして忘却したり軽視してはならないということです。

 

 経済と自然のかけがえのない富の浪費・破壊が、資本主義経済の仕組みによって、資本そのものによって、どんどん押し進められているということです。マネーの信用不安や産業空洞化や地域経済破壊といった市場の直接の危機に止まらず、それを突き抜けて人類社会そのものの存立・存続が脅かされつつある深刻さ(都市集中、過度の過疎化、雇用なき経済成長、人口先細りの少子化など、社会の再生産不能つまり持続不可能)が現れてきました。

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 資本主義の危機や終末がジャーナリズム取り沙汰され、フツーの人々の茫漠とした意識にのぼり、不安感に覆われていました。

 

 しかし、それも、大きく変えようという動きにはならず、当然の如く、一部お金持ちの支配層に政治経済の実権を握られたまま、一般大衆は第一次産業革命次と同じく、資本家に搾取されたまま、2020年を迎えました。そして、新型コロナウイルスの感染拡大を受けました。感染者、死亡者には医療サービスを受けられない貧困者が多く、貧困者は働かなければ、今度は生活苦で困窮する。ここでも、資本主義が作り出した格差が現出しました。

 

 今こそ、『資本論』の出番です。

 

「資本蓄積の法則」「相対的過剰人口の法則」「利潤率の傾向的下落の法則」「富の分配諸法則」をはじめとした経済法則に即して徹底的に暴きだして、そうした近代資本主義の真の正体を浮き彫りにしています。

 

社会の病巣が深ければ深いほど、根源的な診断・治療を必要とします。

まず、経済的富をめぐる生産や分配の営み、経済の様々な現象を、つねに商品や貨幣や資本の基本概念に照らし合わせて吟味し、商品/貨幣/資本/剰余価値の理論と搾取や収奪のしくみの根本に立ち戻って解明する必要があります。

 

マルクスが生きた1800年代からの約200年、資本主義社会の基本的な部分は変わっていないようです。

 

「人間が生きていくためには生産する必要があり、それは昔から行われてきた。ある場所で生産された物が別の場所で生産された物と交換される。それが成り立つのは生産物双方の使用価値(用途)が異なり、またその価値(生産にかかっている人間の労働量)が同じだからだ。だが資本主義社会では生産物は商品にされ、特に貨幣によって仲介されることが多い。たとえ商品化されようと貨幣によって仲介されようと使用価値の異なる生産物が交換されている以上、人間の労働の交換が行われているという本質は変わらないが、その意識は希薄になってしまう。商品と化した生産物は物として見る人がほとんどであり、商品の取引は物と物の取引と見られるからである。人間の創造物である神が人間の外に追いやられて人間を支配したように、人間の創造物である商品や貨幣が人間の外に追いやられて人間を支配したのである。商品や貨幣が神となれば、それを生産した者ではなく、所有する者が神の力で支配するようになる」

 

ブルジョワ市民社会の発展は労働者を生み出した。この労働者というのは労働力(自分の頭脳や肉体)の他には売れる物を何も所有していない人々のことである。労働者は自らの労働力を商品化し、資本家にそれを売って生活している。資本家は利益を上げるために購入した労働力という商品を、価値以上に使用して剰余価値を生み出させ、それを搾取しようとする(賃金額に相当する生産物以上の物を生産することを労働者に要求し、それを無償で手に入れようとする)。資本家が剰余価値を全部消費するなら単純再生産が行われるし、剰余価値の一部が資本に転換されれば、拡大再生産が行われる。拡大再生産が進むと機械化・オートメーション化により労働者人口が過剰になってくる。産業予備軍(失業者)が増え、産業予備軍は現役労働者に取って代わるべく現役労働者より悪い条件でも働こうとしだすので、現役労働者をも危機に陥れる。こうして労働者階級は働けば働くほど窮乏が進んでいく。」

 

「商品は、不変資本(機械や原料など生産手段に投下される資本)、可変資本(労働力購入のために投下される資本)、剰余価値からなる。不変資本は新しい価値を生まないが、可変資本は自らの価値以上の剰余価値を生むことができる。この剰余価値が資本家の利潤を生みだす。ところが拡大再生産が進んで機械化・オートメーション化してくると不変資本がどんどん巨大化し、可変資本がどんどん下がる状態になるから、資本家にとっても剰余価値が減って利潤率が下がるという事態に直面する。投下資本を大きくすれば利潤の絶対量を上げ続けることはできる。だが利潤率の低下は生産力の更なる発展には妨げとなるため、資本主義生産様式の歴史的限界がここに生じる」

 

そして「労働者の貧困と隷従と退廃が強まれば強まるほど彼らの反逆も増大する。ブルジョワはプロレタリア階級という自らの墓掘り人を作り続けている。収奪者が収奪される運命の時は近づいている」

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 資本主義も最初はよかった。関係する人、資本家、労働者すべてが今までよりも豊かな富を得て、豊かな生活をすることができた。しかし、徐々にその関係が崩れ出した。資本家と労働者の立場が明確化し、資本家はより利益を求め出した。

 

利益=売上げーコスト

 

 資本主義が加速すると、労働者は奴隷のように働かされ、賃金は上がらず、利益は資本家に独占された。英国の産業革命時には、女子や子供の多くも働かされた。

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日本の『ブラック企業』のような状況です。昨今は、改善されましたが、その基本概念は、「資本論」をもとに作られた労働者を守るルールです。

 

現在、新型コロナウイルス感染拡大の影響のみならず、第4次産業革命と言われるIT デジタル化の動きです。近代産業革命の時代は、鉄やコンクリート、石油の時代と言われたように、重厚長大のとても資本の必要な時代でした。商品を作るにも工場が必要でした。労働力も相当必要でした。しかし、今やIT 化され、ネット上で、物品だけではなく、無形のアイデアも売れる時代となりました。

 

すなわち、労働力の切り売りをする必要はなく、個人でもスキル、アイデアを売れる時代となりました。そして、この傾向は加速するでょう。

 

資本主義の基本構造が、資本家が労働者から搾取する構造であり、資本主義が進展すると資本家のみに富が集中します。

 

これからは、この資本主義の”悪い”部分が大きく修正され、個人に大きなチャンスが訪れるでしょう。

 

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