自然は偉大なチャーチスト

自然と人間が為す相場との関係を考察するブログです。

不景気の株高の行方

 

新型コロナウイルスの影響で、日本の今年1~3月期の国内総生産(GDP)は年率2・2%下落した。その前の四半期も消費増税でマイナス成長だったので、日本経済はリセッション(景気後退)入りしたことになる。緊急事態宣言下にあった4月以降もマイナス成長が続くとみられる。


 一方、株価はコロナ感染拡大で3月にかけてTOPIXが約3割下落したが、6月までに下落幅の半分以上を取り戻した。米国のナスダック総合指数などは下落を埋めて最高値を更新している。この戻りの速さはリーマン・ショック後を超えており、不景気の株高に世界の投資家は戸惑っている。


 米国にはアマゾンなど自粛生活の中で恩恵を受ける企業があるのは事実だが、産業全体で見るとやはり業績が落ち込む企業の方が多い。現在の株高を支えているのは間違いなく各国の金融緩和と財政出動である。また、リーマン・ショックは巨大な資産バブルの破裂で起きたが、今回のリセッションは感染症拡大が原因という違いもある。感染症はワクチンが開発されれば解決し経済は元に戻る。そういう楽観論もあるのだろう。


 だが、前よりも悪い状態に戻るという不安もある。さらなる新型コロナウイルス拡大で、『休業補償なき休業要請』が出されたあかつきには、企業の倒産や失業者が増加するであろう。産業構造の変化は否応なしに行われて、社会がニューノーマルになるまでは、大きなコストとツケを払う必要があるであろう。コロナ後の日本経済が以前よりも劣化しているのなら株高は維持できまい。むしろ、株式市場自体も変革を求められるのではないだろうか?